SWOT?
SWOT分析とは、マーケティング戦略立案において、初期段階の環境分析に使われることの多いビジネスフレームワークです。詳細につきましては、下記のリンク参照。(経産省のミラサポplusのコラムに飛びます)
本記事では、分析対象を「ジュラルドンVMAXデッキ(アルセウスVSTAR型)」、ロストアビス初期~ダークファンタズマ環境としています。
強み(Strengths)
- 安定した中~高打点
- 行動が明確でプレイミスが起こりづらい
- 特殊エネルギーのみデッキに対し有利
- 弱点が少ない
- スタジアムの自由度が高い
当デッキは、全てのポケモンがVポケモンなので、アルセウスV,VSTARの技によりエネルギー供給が尽きません。よって、アルセウスVからスタートした場合、技によるダメージの安定性は非常に高いと言えます。
序盤の戦術においては相手に依存することなく、①アルセウスV,VSTARの準備をする、②ジュラルドンVMAXの準備をする、③余裕に合わせて盤面や手札を調整するを基本としており、比較的簡易的であると言えます。
また、今後の環境によっては、スタジアムを柔軟に変更する必要があり、その為の自由枠を確保できる点も強みの一つと言えるでしょう。
弱み(Weaknesses)
- アルセウススタート以外の要求値が高い
- マリガン率が高い
- 最大打点が低い
- パルキアVSTARと比べ、サイドレース(準備)が遅れ気味
60枚デッキにアルセウスVを4枚、ジュラルドンVを2枚採用した時、最初の7枚の中に、
- アルセウスVが1枚以上ある確率は、40.0%
- ジュラルドンVが1枚以上あり、アルセウスVが無い確率は、14.2%
- マリガン(カードの引き直し)の確率は、45.9%
初手にアルセウスV、ジュラルドンV両方が存在する場合、必ずアルセウスVを選出するとしても、スタートのたねポケモンを選出する段では73.8%です。
残りの26.2%では準備段階でポケモンいれかえを必要とするため、要求値が高くなります。
最悪のシナリオとして、相手より数枚手札が少ない状態かつ、約3割の不利な状況でスタートせざるを得ない場合があり、初動の不安定さが、このデッキの最大の弱みであると言えるでしょう。
機会(Opportunities)
- 構築・プレイング共にメタられづらい
- 前環境でのあくの塔の台頭
- ミルタンク、ハピナスV、非V等、地雷に耐性有
- 1ターンでジュラルドンVMAXが気絶しづらい
- 輝ルチャブルが少ない
- セイボリーが厳しいデッキが多い
ジュラルドンVMAXのシェアは現状低く、ジュラルドンVMAXデッキの勝率を下げたとしても、他のデッキの勝率を上げたいという思考がメジャーであると言えます。
また、ベンチのポケモンを増やす戦略を取るデッキが多い昨今、当デッキはセイボリーを受けづらく、機会であると言えます。
逆の立場から、当デッキは自由枠が多く、セイボリーを使いやすいデッキと言え、セイボリーが強い環境においては機会になっているとも言えます。
総じて、外部の環境に大きな影響を受けづらいジュラルドンは、デッキコンセプトを通すことこそが他のデッキにとっての驚異であり、シェアの低い現状、強力な地雷デッキとして活躍できると推察します。
脅威(Threats)
- ミュウVMAX、レジギガスの分布が減少
- 分布の多いギラティナVSTARに対して不利
- 分布の多いパルキアVSTARに対して有利ではない
- エネルギー供給が早いデッキが多い
ミュウVMAXデッキは、ほぼ全てのエネルギーが特殊エネルギーであり、ジュラルドンVMAXに対する攻撃手段が限定されるという意味で、非常に相性の良いデッキです。このデッキがシェア筆頭であった頃は、メタデッキとしてジュラルドンVMAXが非常に活躍していました。
一方、現在の環境シェアはパルキアVSTARを筆頭に、非常に広く分布しています。
ジュラルドンVMAXは、多くのデッキと五分に渡り合えるだけのポテンシャルを持ちますが、先にも述べた、初動の不安定さから、環境全体との戦力比較(勝率)は相対的に一歩劣っていると言わざるを得ません。
分布如何では、イージーウィンを多く取れるため、大会で上位成績を狙う場合、環境分析力が非常に重要になってくるものと推察します。
SWOT総括
ジュラルドンVMAXに対する悲観的なほど不利なデッキが増えたわけではなく、また、ジュラルドン起動後のダメージ量・エネルギー供給は環境デッキと比較しても遜色なく、十分戦えるものと推察します。
しかし、アルセウスVでスタート出来ない場合、他の環境デッキと比べケア手段が限られ、それが勝率の低下の一因となっています。
他方、ポケモンGO環境におけるあくの塔型の出現のように、ジュラルドンVMAXデッキは、まだまだ開拓の余地があるようにも見受けられます。
総括して、大会環境をよく分析した上での現状のアルセウスVSTAR型の使用、または、未だ見たことのないジュラルドンVMAX型の開発により、まだまだ大会環境での活躍は期待できるものと推察します。